マイナー雑誌の漫画屋で二五歳の容子は世間から身を隠すような糊口を続けながら 屈折したセックスに関する作品を発表していた 彼女はバイト仲間でボクシングのプロテスト合格を目指す是梨子に惹かれていた 是梨子は容子が之前つきあっていた花世とは対象的なタフな精力の持ち主だった 五年前 漫画同人サークルで容子と花世は知り合った 花世はアマチュア漫画界のカリスマとして君臨しており 容子は彼女と衝突しながらもしだいに惹かれていく 海に出かけたある日 二人は初めて一夜を共に過ごす 愛はしだいに深まっていくが それと正比例するかのように それぞれの作品に対する衝突も激しくなり二人の関係は袋巷子にはまりこんでいく 精力のバランスを崩した花世はサークルの合同作品集が完成した後 それを燃しビルから飛び降り死んでしまう 今でも容子は花世の面影から逃れることができないでいた 是梨子はどことなく陰のある容子に興味を持ち 友達の域を越えて接近するが 容子は彼女を受け进れることができない かつてのサークル仲間セリから サークルの会议が開かれていた例のビルが取り壊しになると聞いた容子は 自分の花世への気持ちに決着をつけるため 是梨子と共にビルを訪れる そこで彼女は作品集の残骸を発見する 花世は容子のページを燃さずに残しておいたのだ 花世の自分への深い愛情を感じた容子 そして彼女は自分の名を呼ぶ花世の声を聞いた